時間単位の有給消化
皆様も既知の通り、10日以上の有給休暇が付与される全ての労働者に対し、
毎年5日間、時季を指定して有給休暇を取得させることが
義務付けられています。
有給消化が義務化された理由としてまず挙げられるのは、
日本は世界でもダントツに有給消化率が低いという点です。
(画像参照元:有給休暇取得率3年連続最下位に!有給休暇国際比較調査2018)
2つ目の理由として、
ワークライフバランスが取れない働き方の常態化が挙げられます。
(画像参照元:内閣府 – 第1節 働き方改革が求められる労働市場の課題 4長時間労働の現状(PDF))
このような社会問題を解決するために、
5日間の有給休暇取得が義務付けられるようになった訳ですが、
なかなか進んでいない、という企業もあるのが実情です。
業態によって、全従業員に一斉付与や交替制で付与、
ということが考えられるわけですが、
労使協定を結べば、年5日の範囲内で時間単位の取得が可能となります。
〈労使協定で定める事項〉
①時間単位年休の対象労働者の範囲
②時間単位年休の日数
③時間単位年休1日分の時間数
④1時間以外の時間を単位として与える場合の時間数
時差出勤やフレックスタイム制との相性も良く、
事業形態によって柔軟な活用が可能となります。
労使協定に関しては、社会保険労務士に相談することをオススメします。
興味のある方は、まず働き方・休み方改善ポータルサイトをご確認ください。
2024年での働き方改革関連法は?
皆様もご存じの通りですが、
2019年4月の法改正に伴って労働時間の上限が規制され、
違反した企業に罰則が科せられることになりました。
ただし中小企業に関しては1年間の猶予が与えられ、
2020年4月からの運用となっています。
それ以外では、医師、自転車運転業務、建設業などの業種は、
更に一定期間の猶予が設定され、
2024年4月から施行されますので、今から準備が必要となります。
業種によっては、36協定の特別条項により
長時間労働に対応していることも多いでしょう。
2024年4月から、もし企業がこの労働時間の上限規制を守らない場合、
罰則が科せられることになります。
上限規制を遵守せずに時間外労働させた場合、
6ヶ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金が科せられます。
長時間労働により労働者が事故に巻き込まれたり、
過労死したりするような悲しい事故があり、社会問題となりました。
労働者を守ることが、企業を守ることにつながる、と言えると思います。
他にも、2024年の法改正の内容の検討も始まっています。
「インターバル規制」「割増賃金率の改定」「労働時間の上限数の改定」などが挙げられます。
働き方改革に追いついていない、と感じているならば、
今のうちに追いつきましょう!
現状で対応できている場合も、未来に向けた準備が必要となります。
今後も、国の働き方改革への動きが加速していくはず。
過去に戻ることは、絶対にありえません!
株式会社豊明コンサルティング 上口幸博
(前サイトで公開していたものを、加筆・修正しております。)