今回は、チームビルディングについての基本的な考えを整理していきます。
◆チームビルディングは、目標達成のための組織作り
チームビルディングとは、チームにおける個々人のスキルや能力・経験を最大限に発揮し、目標達成を目指すための取り組みのことです。ただ単に優秀な人材を集めれば優秀なチームが生まれるというわけではありません。
日本語に直訳すると、「チームを作る(構築する)」という意味になり、ゴールに向かって異なるスキルを尊重し、融合させていくことが重要になります。
ビジネスにおいては複数のメンバーが集まって仕事をすることが多いものですが、その際は各メンバーの潜在能力を最大限に引き出し、お互いに協力させる風土・仕組み作りが大切です。
チームビルティングは、各メンバーが目標達成に向けて主体的に考えて行動するという理想的な組織を作る役割を持っています。
◆なぜ、チームビルディングが必要なのか?
今現在の市場環境は、市場の変化が激しくスピード重視であり、働き方やジェンダー、価値観やニーズなども様々で、多様化と選択の時代となっています。
そして現在、私たちを取り巻く環境はVUCA(ブーカ)
- Volatility(変動性・不安定さ)
- Uncertainty(不確実性・不確定さ)
- Complexity(複雑性)
- Ambiguity(曖昧性・不明確さ)
の時代とも言われています。
課題が複雑化し、ひとつひとつ解決していても効果が出にくくなっており、複雑に絡んだ問題を同時に解決していく力が必要となっているのです。
◆時代や環境の変化
コロナ禍などによる不安定な市場環境による大企業への就職希望傾向、少子高齢化による労働力人口の減少もあり、採用が困難になっています。
それを考えると、現状のチームメンバーで最大限の力を発揮できるようにしていくことが最善の策だと言えます。
でも、それは簡単なことではありません。
団塊の世代がガムシャラに働いた高度経済成長の時代、新卒採用により同じ条件の人を揃え、男性が長時間働くことで経済発展をしてきました。
頑張った分だけ給料が上がる、豊かになる、という価値観が存在し、きつい仕事や長時間の残業でも、歯をくいしばって我慢できたのです。
わかりやすいアメとムチで、トップダウンの指示命令系統も有効でした。
※ちなみに、この時期を人口ボーナス期と言います。
若者が多く、高齢者が少ないのが特徴で、労働力人口比率が高い状況です。発展途上国はその時期にあります。安い労働力を武器に世界中から仕事を受注し、早く安く大量にこなして儲けます。一方、高齢者の比率が低いため社会保障費もかさむことはなく、余った利益はインフラ投資にまわすことができます。つまり、爆発的に経済発展をするのが当たり前の時期なのです。
しかし、今は違います。
がんばっても給料があがるとは限らない、大企業でも倒産する、大災害があれば明日の保証もないという時代で、人の価値観は様々となった結果、画一的なトップダウンでは社員は動かなくなったのです。
※ちなみに、今の時期を人口オーナス期と言います。
オーナスとは負荷や重荷という意味で、人口構造がその国の経済の重荷になる時期を指します。支えられる側(高齢者や子ども)が支える側(働く人)より多くなってしまう構造です。
上記のように、昔と今では働く環境や時代背景も違うので、働き方を変える必要性があり、働き方改革関連法が施行されました。しかし、働き方改革の誤解により効率化だけに焦点があたることで、必要なコミュニケーションの時間が減少し、質も低下する一方です。このことが、チーム・組織づくりがうまくいかないことを助長しています。
頭脳労働の比率が高まるため、男女で差が出ない仕事も増加します。時間あたりの単価が高騰するため、時間をかけるほどコストが嵩みます。そのため短時間で成果を出すことも重要となります。
育児や介護が原因で、仕事を休む・辞める・短時間勤務になるといった、働き方の制約を受けることが当たり前の状態になるので、時間制約がある人たちの集合体でも勝てるような仕事のやり方に転換することが求められているのです。
続きは次回です。お楽しみに!
※本コラムは、オンラインサロン「パチ盛り」に掲載したものを、加筆・修正したものです。