今回は、タックマンモデルを紹介します!
◆タックマンモデルとは?
チームで仕事をする人々の行動を研究しているアメリカの心理学者ブルース・タックマンが提唱した考え方で、組織の成長を段階的に示したもので、コミュニケーションとメンバーの関係を説明するモデルです。
タックマンモデルでは、チームの発展段階を【形成/Forming】【混乱/Storming】【統一/Norming】【機能/Performing】【散会/Adjourning】の5つに分類しています。
全てのチームはこの成長の段階を必ず通ると言われており、どこかの段階を飛ばすことはできません。
残念ながら【混乱】を避けて【機能】へ進むことはできないどころか、成果の出せるチームになるにはこの【混乱】をいかに乗り越えるか最重要ポイントだと言われています。
【形成/Forming】
メンバーが集まり、関係性が築きはじめられる段階です。
しっかりとしたビジョンや目標が示されている場合もあれば一旦のビジョンや目標が示されている場合もありますが、一様に新しいことが始まることでのメンバーの期待値が高まっています。
お互いのことをよく知らないので、大抵は核心に触れないようなことを話すことから始まり、徐々にコミュニケーションをしていきます。まだチームになれていない状態です。
【混乱/Storming】
より具体的に進めていく段階でメンバー間のさまざまな違いが明らかになり、不安が高まる段階です。
他のメンバーに対して本音や意見をいえるようになってくると、メンバー同士の「衝突」が起こり始めたり、反対に本音や意見を言うのを差し控えたりすることが出てきます。チーム内のヒエラルキーを気にする動きが出てくる可能性もあります。
この時期、メンバーは不安な気持ちになっていきます。また、チームで協働することに対して抵抗する者も出現してくる時期でもあります。チームとしての体裁はあるが、機能していない状態です。
【統一/Norming】
チームの規範やルールが確立される段階です。意見が衝突した場合の対処の仕方や本音を引き出す方法など、コミュニケーションにおける約束事、物事を生産的に進めるやり方や役割分担などが確立され、不安だったメンバーの心に希望の兆しが見え始めます。
責任の範囲も明確になり、互いの価値観や意見を受け入れやすい状態であることが挙げられます。そうすると今まで発言の少なかったメンバーも含め、活発な議論がされやすくなります。
【成果/Transforming】
チームが成果に向けて機能している段階です。ここではメンバーたちは希望に満ち、お互いを助けうことで団結力と一体感が醸成され、各自がリーダーシップを発揮します。メンバー同士での協力関係も確立されゴールへ向かって進んでいきます。
ここでのポイントは、チームが形成されてから一足飛びに成果がでるわけではなく、成果を出すためには【混乱】を乗り越えなければいけないという点です。
【散会/Adjourning】
どのチームにも、目的の達成もしくは時間的な制約などにより解散をする時期が訪れ、タックマンモデルではそれを【散会】と呼びます。
この時期に差し掛かれば、解散の時期を見据えて、最後の締めくくりをすることもリーダーの役目の一つでしょう。このメンバーでまた仕事をしたいという声が挙がれば、リーダーとしての役割を果たしたといえると思います。
◆タックマンモデルの目的
一つ目の目的は、チームメンバー一人一人がそれぞれの役割を認識するためです。チームとして成果を残すためには、それぞれが自分の強みを発揮し、役割を全うすることが不可欠です。 つまり、チーム内で一人一人にふさわしい役割を与え、活動を実行していく必要があります。
次に、チームでのパフォーマンスを向上させるためです。特に管理者やチームリーダーがタックマンモデルを学ぶことで、チームの段階に応じた打ち手を取ることができます。 そうすることでチームをより早く【統一】および【機能】に到達させることができます。 いくら能力が高いメンバーを集めても、チームとしてパフォーマンスを発揮できないこともあります。
しかし、タックマンモデルの段階を踏まえて正しく導かれたチームは、最適なパフォーマンスを発揮し、成果を残しやすいと言われています。
◆【混乱】をどのように乗り越えるか?
【混乱】の段階で衝突が起きると、本音や意見を言うのを差し控えたりしてしまう、ということが起こります。これを乗り越えていかないと高い成果は出せません。
ですが、特に日本の場合は、出る杭は打たれる、村八分など、といった文化?や雰囲気もあり、周囲と同じであることが良しとされて、衝突を避け事なかれ主義で済ませてしまう傾向も出てしまいます。 つまり、見かけ上では反対意見は出ていないのですが、実際には不満や不安を抱えたまま仕事をしている、という状況になってしまうのです。
こうなると、一人ひとりのパフォーマンスを最大限発揮してもらうことは非常に難しくなります。 上記のように、チーム内で衝突が起き、一時的に成果が低下する【混乱】は、いいイメージを持ちにくいと言えます。
しかし今後のために、お互いの考えや価値観を知り、個性や持ち味を活かすためには必要不可欠です。本音で意見交換をする機会をあえて作る必要があります。 上司や先輩に意見を言ったり、自分の価値観を伝えるのは勇気が必要ですが、お互いを知らないままでは、次の段階には進めません。
◆【Youメッセージ】ではなく【Iメッセージ】で
相手に自分の想いを伝えるためにも、メッセージの表現方法を考えてみましょう。
【Iメッセージ】とは「私は○○と思う」「私は○○のようにしてほしい」など、「私」を主語にした伝え方のことです。
【Youメッセージ】とは、「あなたは◯◯ですね」、「あなたは何故そうするのですか?」という伝え方です。
アンガーマネジメントの観点でも、よくお伝えすることなのですが、 例えば、自分は仕事が忙しくて必死なのに、同僚は手が空いていておしゃべりしている、 という状況だとして、 【Youメッセージ】で、「お前は、仕事中にペチャクチャ話して気楽だな!」とケンカ腰で言ってしまうと、相手にも否定的なニュアンスで伝わります。
すると、相手は「イチイチうるさいな。自分の仕事は終わっているし関係ないだろ!」と、相手も攻撃的になってしまいます。
一方、「今、私は手一杯なので、協力してもらえると助かるよ!」と【Iメッセージ】で言われれば、「そうか、じゃあ手伝うから何からやればいいか言って!」と、相手にもお互いの状況を考える余裕が生まれてくるのです。
相手との関係性を変えていくには、【Youメッセージ】で感情をぶつけたり相手を責めたりせずに、【Iメッセージ】で自分の気持ちや価値観を伝えることが重要となります。
※本コラムは、オンラインサロン「パチ盛り」に掲載したものを、加筆・修正したものです。