組織問題の「氷山モデル」
多くのことで例えに使われている「氷山モデル」ですが、組織でも同様です。
海の上にある目に見える部分は一部分にすぎず、海の下に多くの目に見えない部分がありますよ、っていうような良く耳にするアレです。
日頃から発生する出来事レベルの問題で、
・接客、サービスでのミス
・清掃が出来ていない
などの目に見える問題を解決するのも必要で、現場で随時改善を行うことが必要となります。
しかし、表面上の問題を解決しているだけでは、同じような問題が次から次へと出てきます。
根本的な問題を解決していくことも必要となります。
根っこから対策しないとまた生えてくる、雑草処理みたいなことです。
やはり重要なのは、目に見えない問題です。
まずは、時系列での問題。
・組織のトップが朝令暮改
・新しい制度を導入
・新しい人財の育成
こういう問題は、原因と結果が時間的・空間的に離れていることで生じる複雑性があります。
個別にアプローチして対策するのではなく、全体アプローチによりビジョンの共有・理解を進める必要があります。
次に構造的な問題で、大きく分けて2種類あると考えます。
まずは煩雑な問題。
・顧客ニーズ
・設備トラブル
・接客クレーム
などの、様々な種類が出てくる問題が複雑に絡み合ってしまう、ということがあります。
この場合は、一つの問題だけを解決しても追いつきません。多くの問題を同時に解決していく組織力が必要となります。
もう一つは複雑な問題。
・予測不可能な変化
・価値観や利害が相反していることによって生じる問題、
など、一筋縄ではいかないような問題もあります。
組織におけるビジョンを明確にし、理解する必要があります。また、信頼関係の構築も必要であると思います。
最後に、メンタルモデルです。
メンタルモデルとは、私達の心の奥深くに根差した世の中の前提や一般理論、絵やイメージまたはストーリーのようなものです。
更に言うと、パラダイムやマインドセット、 世界観や視点、思い込みとも言えます。
そのようなものを元に、私達がどのように現実を解釈し、行動するかを決めることとなります。
要するに、「見たことを信じる」のではなく、実際に「信じていることが見える」ようになります。
バイアスがかかった状態であり、色眼鏡で見てしまう、ということが起きます。
だまし絵みたいなものだと思ってもらえると、理解しやすいかと思います。
一回見た印象をなかなか変えられない、というようなことです。
・アイツは嘘つきだから信用できない
・とにかく結果を出さなくてはならない
・上司の言うことは絶対
など、個人の価値観が原因で、組織に影響が出てしまう場合があります。
この場合、本人は間違っていないと思っています。
なので、責められた場合は自己正当化などの行動に向かいます。
個人の価値観が間違っている、ということではなく、全て正しいと考えることが前提です。
しかし、「個人の価値観=組織の価値観」ではありません。
これは一人で解決できる問題ではありません。
チームのメンバーでお互いに協力して解決していく必要があります。
そうしないと新たな視点に気付くことが出来ず、解決することが出来ないのです。
組織における 「理念」「ビジョン」「目標」「目的」…どう違う?
目標は、基本的に単独では存在しません。
目的(何のために)
目標(何をする)の連鎖の中に位置づけられています。
例えば、ある目標は、その目的からみれば「手段」となります。
しかし、その目標の手段(下位目標)からみれば、その手段を取る目的となります。
「理念」「ビジョン」「目標」「目的」
当たり前のように使い、よく耳にする、似たようなこれらの言葉。
それぞれをgoo国語辞書で意味を検索しました。
り‐ねん【理念】 の解説
1 ある物事についての、こうあるべきだという根本の考え。「憲法の理念を尊重する」
2 哲学で、純粋に理性によって立てられる超経験的な最高の理想的概念。プラトンのイデアに由来。イデー。
ビジョン【vision】 の解説
1 将来の構想。展望。また、将来を見通す力。洞察力。「リーダーにビジョンがない」「ビジョンを掲げる」
2 視覚。視力。また、視覚による映像。
もく‐ひょう〔‐ヘウ〕【目標】 の解説
1 そこに行き着くように、またそこから外れないように目印とするもの。「島を目標にして東へ進む」
2 射撃・攻撃などの対象。まと。「砲撃の目標になる」
3 行動を進めるにあたって、実現・達成をめざす水準。「目標を達成する」「月産五千台を目標とする」「目標額」
もく‐てき【目的】 の解説
1 実現しようとしてめざす事柄。行動のねらい。めあて。「当初の目的を達成する」「目的にかなう」「旅行の目的」
2 倫理学で、理性ないし意志が、行為に先だって行為を規定し、方向づけるもの。
[用法]目的・[用法]目標――「目的(目標)に向かって着実に進む」のように、めざすものの意では相通じて用いられる。
◇「目的」は、「目標」に比べ抽象的で長期にわたる目あてであり、内容に重点を置いて使う。「人生の目的を立身出世に置く」
◇「目標」は、目ざす地点・数値・数量などに重点があり、「目標は前方三〇〇〇メートルの丘の上」「今週の売り上げ目標」のようにより具体的である。
上記のような内容でした。
整理しますと、
「目標」とは”目”で見える”標”、マイルストーンです。
“目”で見た時に、その”的”に近づいているかの”標”となるのが「目標」です。
「目的」という最終的なゴールに向けて、その間に設定される小さな指標のことを指します。
要するに、”目的”というゴールがあり、それに到達するまでの過程に立てられるものが「目標」。
そのため「目的」は中長期的なもの、「目標」は短期的なものに設定されます。
「ビジョン」とは「目的」の意に近く、「理念」とは根本の考え。
ですので、短期→長期で表現すると、
「目標」→「目的」=「ビジョン」→「理念」
というイメージになります。
結局何から作ればいいの?
結論から言うと、まずは「理念」から。
他はそこからの逆算で考えるのが良いでしょう。
しかし、「理念」とは、その会社の最上位の価値観であり、存在意義であると言えます。
そのため深く考える必要があります。
とにかく「現状の方向性を明確にする」とか「早急に体制を立て直す」ということあれば、「ビジョン」から作成することをオススメします。
その後は同様に逆算で「目標」を設定していきましょう。
ひと昔前では、中期で5年後、長期で10年後ぐらいをイメージしていましたが、市場環境の変化が早い現在では、10年後は当然、5年後の計画でも難易度は高くなっています。
現在では2~3年での経営計画ぐらいが妥当であり、それでも随時修正が必要になるはずです。
「ビジョン」に向かって行動し、組織として醸成してくれば、おのずと「ビジョン」の延長ともいうべき価値観も出てくるはずですので、それを元に「理念」とすれば問題ありません。
暗黙知から形式知にしていく作業は大変ですが、トップダウンではなく従業員からのボトムアップによる生きた価値観であり、組織に深く根付いたものとなります。
そういう面から見ても、リーダーが「ビジョン」を示し、正しく導いていくことは、やはり重要であると言えます。
そうでないと、組織が間違った方向に進むことにより、逆に間違った価値観を根付かせることになるからです。
その他にも共有しておくべきものがありますので、参考にしてみてください。
全てが必要ではありませんが、
・使命、ミッション
与えられた重大な務め。責任をもって果たさなければならない任務。
・行動方針・価値/社是
会社や結社の経営上の方針・主張。またそれを表す言葉。
・社訓
その会社で、社員が守るべき基本的な指針として定めてあること。
・クレド
企業活動の拠り所となる価値観や行動規範を簡潔に表現した文言。
上記のものは主に、日々の心構えや行動を文言化したものです。
「目的」や「目標」の達成に向けて、日々の積み重ねが必要となります。
今現在の市場環境は、市場の変化が激しくスピード重視であり、働き方やジェンダー、価値観やニーズなども様々で、多様化と選択の時代となっています。
そして現在、私たちを取り巻く環境はVUCA(ブーカ)の時代とも言われています。
ですので、出来るだけ効果的に、達成に向かう必要があり、日々の進捗を確認するためにも、基準とすべきものが必要となります。
企業によっては、すでに文化として根付いているものもあり、ベテラン従業員のOJTによって伝達されていくものもあります。
それも悪くはないのですが、若いスタッフが入社してきた時にスピーディに理解してもらえるよう、出来れば文言化しておくことも必要です。(暗黙知の形式知化)
正しく伝われば問題ないのですが、間違って伝わることもあります。
働いている従業員は人間です。指摘する人がいなくなれば、甘えが出てくることも考えられます。
面倒に感じるかもしれませんが、間違った方向に向かっていかないように、基準とするものは見える化しておくことをオススメします。
間違った方向を正しい方向に軌道修正する方が、遥かに手間がかかります。
多様な人材が持つそれぞれの強みを活かして、人それぞれの弱みをカバーし、組織として助け合いながら、成果を残しながら成長していく組織になっていくことが求められます。
チームビルディングが浸透した組織になると、常に根本的な解決にチャレンジし、成功を収めることができ、それが習慣化し、やがて組織風土へと定着していきます。
組織の問題解決のためにも、チームビルディングを!
多様な人材が持つそれぞれの強みを活かして、人それぞれの弱みをカバーし、組織として助け合いながら、成果を残しながら成長していく組織になっていくことが求められます。
チームビルディングが浸透した組織になると、常に根本的な解決にチャレンジし、成功を収めることができ、それが習慣化し、やがて組織風土へと定着していきます。
小さい組織だからチームビルディングは必要ない、という考えは間違いです。
なぜなら、小さい組織の方が、従業員一人ひとりの組織に対しての影響が大きくなるからです。
弊社では、最強のチームビルディングにより、組織の生産性を上げ離職率を下げるよう、その組織に最適なプロジェクトを、お手頃な価格で提案いたします。
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※本コラムは、オンラインサロン「パチ盛り」に掲載したものを、加筆・修正したものです。